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(PRTR 法)

ドキュメント内 環境報告書 | KEK (ページ 40-60)

た物質(354 種類)を年間 1トン(特定第一種指定化学物質 12 物質については 0.5トン)以上取り扱う事業所で、

業種や従業員数などの要件に合致するものについて、その排出量・移動量を届け出ることを義務付けています。

KEK において、2012 年度は届出の対象となる量の取り扱いはありませんでした。

(PRTR 法)

エネルギー管理

KEK は特定事業者として指定されており、「機構長」をトップとしたエネルギー管理組織の下、エネルギー管理 を行っています。

(エネルギーの使用の合理化に関する法律)

環境との共生

廃棄物管理 (廃棄物の処理及び清掃に関する法律、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処 理の推進に関する特別措置法)

機構の研究活動で発生する廃棄物類は、1) 一般廃棄物類、2) プラスチック、木屑類、がれき類などの産業廃 棄物類、3) 研究活動で発生する廃油類や有機系・無機系の廃液類、化学物質等を含む固形廃棄物類などの実 験系の産業廃棄物に、大きく分類されます。これらは廃棄物の種類に応じた廃棄物処理業者に委託し、適正に 処理しています。また、実験系廃棄物類の一部は、機構内の実験廃液処理施設において無害化処理しています。

1989 年以前に製造されたトランスやコンデンサ、安定器などの電気機器の一部には、絶縁油中に有害な化学 物質の PCB(ポリ塩化ビフェニル)を含むものがあります。PCB を含む機器類は「PCB 廃棄物の適正な処理の推 進に関する特別措置法」により適切な保管と届出が求められ、KEK においても PCB 廃棄物専用の保管庫で厳重 に保管すると共に、保管・使用状況を毎年茨城県に報告して

います。

機構の所有する PCB 廃棄物のうち、高濃度の PCB を含 有する高圧コンデンサ類は、日本環境安全事業株式会社

(JESCO)の北海道事業所(室蘭市)において、2010 年度より 処理を行ってきました。2012 年度は 39 台 6,311 kg が処理 され、機構で発生した高濃度 PCB を含有する大型機器類 58 台 10,004 kg はすべて処理が完了しました。

小型の照明用安定器についても、処理が可能な 56 台につ いて、JESCO 北海道事業所で処理するための事前登録が完 了しました。低濃度 PCB を含有する電気機器類については、

まだ本格的な処理が始まっていませんが、処理の目処が立ち 次第、使用中の機器類の取り扱いも含め、計画的に対応し ていきます。

PCB 運搬専用車両への積込作業の模様  運搬トレイに収納されたコンデンサ(202 kg × 6 台)

分類 台数 総重量 (kg) 高濃度 PCB を含有する廃止済み機器

照明用安定器 58 152

低濃度 PCB を含有する廃止済み機器

高圧コンデンサ 22 1,284  低圧コンデンサ 159 25  高圧トランス 17 22,290  直流高電圧発生装置 2 3,000  低濃度 PCB を含有する使用中機器

高圧トランス 67 70,669 合計 325 97,420  保管中・使用中の PCB 含有機器(2012 年度末現在)

プラセオジム・ニッケル酸化物の高い酸素透過率の 原因を解明−燃料電池など、性能向上へ−

環境関連トピックス

KEK の研究設備を利用した環境配慮に貢献する研究や省エネの取り組みについて紹介します。

東京工業大学大学院理工学研究科の八島正知教授と九州大学カーボンニュートラルエネルギー国際研究所 / 工学研究院の石原達己教授らは共同で、K2NiF4型構造を有するガリウムと銅を含むプラセオジム・ニッケル酸化 物が高い酸素透過率を持つ仕組みを解明しました。この酸化物は、燃料電池材料や酸素透過膜材料として応用 が期待されている化合物です。

この酸化物の結晶構造(原子配列)を東北大学・金属材料研究所の高温中性子回折装置や、KEK 放射光科学 研究施設の放射光 X 線回折装置などで詳細に解析した結果、同酸化物には大量の過剰酸素が結晶の格子の間 に存在していることが分かりました(図1)。その理由は、ガリウムが大量の酸素原子を格子間に入れる機能を持ち、

銅が結晶格子上の酸素を動きやすくさせる働きを持つためであることを解明しました(図 2)。また、温度上昇時 には、格子上にある酸素と格子の間にある酸素の分布が連結することで、酸化物イオンの移動が起こることが確 認され、その原子核の密度が酸素透過率とともに増加することを明らかにしました。

本成果は、酸素透過率に優れたイオン伝導体(注 1)の設計に新しいコンセプトを示すもので、新しいイオン伝 導体の開発につながります。高い酸素透過率を持つイオン伝導体は、空気中から酸素を効率良く取り込めるため、

固体酸化物形燃料電池(注 2)等の性能向上と研究開発の加速も期待されます。

図 2(右):第一原理計算により決めた Pr40Ni15Cu4GaO86の原子配列の一部。Pr40Ni15Cu4GaO86は Pr2(Ni0.75Cu0.25)0.95Ga0.05O4+ δ

の近似スーパーセルである。図の a、b に示すように、格子間酸素 Oi の周りでは、Oi との距離をある程度保つように、頂点 酸素が Oi とは反対の方向にシフトする(ずれる)(赤い矢印)。図 c に示すように、d10 Ga3+ドーパント近くの局所緩和が観察 される。この局所緩和により別の種類の格子間酸素 Ogが安定化される。

図 1(左):中性子回折データの構造解析により分かった Pr2(Ni0.75Cu0.25)0.95Ga0.05O4+ δ、Pr2Ni0.75Cu0.25O4+ δ 及び Sr2Ti0.9Co0.1O 4-εの 結晶構 造( 室 温 )。 すべて K2NiF4型構 造を有する。 ガリウムと銅が添 加されている Pr2(Ni0.75Cu0.25)0.95Ga0.05O4+ δ Pr2Ni0.75Cu0.25O4+ δ には、結晶格子の間に過剰酸素 O3 が確認できる。

(注 1)イオン伝導体

イオンを伝導できる物質。電解質とも言う。

(注 2)固体酸化物形燃料電池

電解質に固体酸化物を用いた燃料電池。電池の作動温度が400〜1000℃と高い。空気極で空気中の酸素から発生 させた酸化物イオン(O2-)が電解質中を通り、燃料極で水素または一酸化炭素と反応することで発電する(一酸化炭素

環境関連トピックス

家庭用燃料電池の効率向上に寄与する原子が完全 に混ざり合った新規合金触媒の開発に初めて成功

北海道大学触媒化学研究センターの竹口竜弥准教授の研究グループは、家庭用燃料電池の効率向上に寄与す る白金原子とルテニウム原子が完全に混ざり合った新規合金触媒の開発に成功しました。通常の白金触媒は一 酸化炭素が吸着することで、触媒活性を失いますが、燃料である水素に微量の一酸化炭素が共存しても、新規 合金触媒上で一酸化炭素が効率よく除去され、貴金属の使用量を少なくしても、高い効率で燃料電池発電が可 能となり、貴金属資源の有効利用を実現しました。また、白金原子とルテニウム原子だけでなく、他の原子につ いても同様に完全に混ざり合った新たな合金触媒の開発が可能となることから、家庭用燃料電池の分野に限らず、

エネルギー環境問題解決へも寄与することが期待されます。

固体高分子形燃料電池は、水の電気分解反応の逆反応を利用して、高い効率で電力を取り出すことが可能な 発電装置です。特に、水素を燃料とし、高分子電解質膜を電解質として用いる固体高分子形水素−酸素燃料電 池は、比較的低温(100℃以下)で動作し、小型化が容易であり、排出物が水のみのクリーンな装置であるため、

自動車やモバイル電子機器の電源、家庭用コージェネレーションシステム(注 1)としての普及が期待されていま す。現在、普及が図られている家庭用固体高分子形燃料電池システム(注 2)では、燃料極触媒に白金−ルテニウ ム合金触媒が使用されていますが、都市ガスから製造した水素の中に微量に含まれている一酸化炭素により被 毒され、触媒活性が低下することが大きな問題となっています(下図)。

KEK 放射光科学研究施設で、白金−ルテニウム合金触媒の構造解析を行ったところ、白金、ルテニウムへの 結合の割合は、白金から見てもルテニウムから見ても 3:2 で、各原子の存在比に完全に一致することから、原 子が完全に混ざり合った状態であることがわかりました。これまでは白金−ルテニウム触媒で原子が完全に混ざ り合った合金触媒の報告例はありませんでした。

今後、本技術を利用することで、原子レベルで元 素の分布を制御した(原子が完全に混ざり合った)

新しい合金触媒の開発や、新たな触媒の設計が 可能となり、燃料電池の分野に限らず、エネルギー 環境問題解決へも寄与することが期待されます。

なお、本研究は、独立行政法人新エネルギー・

産業技術総合開発機構の助成事業「固体高分子 形燃料電池実用化推進技術開発 / 基盤技術開発 / 定置用燃料電池システムの低コスト化のための MEA6 高性能化」の一環として行われました。

家庭用固体高分子形燃料電池システム及び開発触媒の拡大図

(注 1)コージェネレーションシステム

大型の火力発電所での発電では、発電時の排熱を有効に利用することは困難であるが、発電源を分散させることによ り熱の有効利用が可能となる。コージェネレーションシステムは、燃料電池やガスタービンエンジンなどで電力を取り 出すときに、発電時に生成する排熱を利用して温熱・冷熱を取り出し、総合エネルギー効率を高めることができる分散 型のエネルギー供給システムである。

(注 2)家庭用固体高分子形燃料電池システム

主に都市ガスなどを原料として、改質器を用いて燃料となる水素を取り出した後、燃料極で水素から発生させた水素イ オン(H+)が高分子電解膜を通り、空気極で空気中の酸素と反応することで発電するシステム。発電時の排熱を給湯 に利用するコージェネレーションによりエネルギー利用効率が高くなる。本格的な普及のためには、システムのコスト低 減と性能及び耐久性の向上が求められている。

ドキュメント内 環境報告書 | KEK (ページ 40-60)

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